植物を育てた思い出

植物を初めて育てた思い出は、小学校の朝顔にさかのぼる。
その後は同じく小学校のヘチマ。
確か花すらつかなかった。

その後は、誕生日に祖父にねだって買ってもらった黄色いバラ。
朝顔とヘチマどちらも言われるがままに観察しかしたことのない私にとって、言うまでもなくバラというものは高嶺の花であり、あっという間にその養育権を祖父に譲渡した。
そのバラはいまだに祖父の庭で美しく咲いている。
しかし名前だけは私のバラと呼ばれ、その名跡のみを残している。

そして最後に飾っておくだけ、週に一度だけ水をやる観葉植物を購入し、名前をつけて眺めていた。
いつのまにかその観葉植物がいなくなっていたが、後で母に、虫がわいていたから捨てたと聞いた。

そんな私はその後もこりずに、身の程も知らず実のなる植物に大いに憧れを抱いた。
理由はただ単に、実のなる木があるよその家が羨ましかったからである。

そういうわけで、はじめは誰もが通るであろうイチゴを購入して庭のプランターに植えた。
順調に育って実をつけた。
はじめ青い実が日増しに赤く色づき、いよいよ明日収穫しようと思ったあくる日、イチゴの姿が消えていた。
どうやら庭にきたカラスにやられたようだ。

赤い実は狙われる、ということで、インターネットで実のなる植物の苗を探した。
私はチョコレートが何より好きなので、カカオのプランターを探すことにした。

ちょうど頃合の、実が一つなっている木が見つかった。
3万円だった。
私の今までの経歴を鑑みるに、3万円の木一本というのはリスクが高すぎる。
潔く諦めた。

そして今は、幼少のみぎりから愛してやまないジュズダマが近所のドブ川に生えていたのを見つけ、果敢にドブ川に足をつっこみながら引っこ抜いて庭に植えた。
ちょうどこの前一回枯れた苗が新芽を出したところだ。
果たしてそれが本当にジュズダマか、今年の秋が楽しみである。

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