プレゼントの価値

人からのプレゼントの価値を、その価格だけで決めつける人がいるが、私はその考え方には賛同しかねる。
そういう考え方の人が、昔、身近にいた。
私が大学時代にバイトしていたお店は、いわゆる夜のお店では決してなかったが、常連のお客様も多く、お話する機会も多かったので、自然とお客様と仲良くなった。

スタッフの中にとても可愛い女の子がいて、お客様からも人気があった。
街中で擦れ違えば思わず振り返ってしまうような女の子だった。
その子のためにプレゼントを持ってくるお客様がいた。
表面上は「ありがとうございます」と受け取っていたものの、裏でその子は「こんな安物いらない」と乱雑に扱っていた。
私はそれにひどくショックを受けた。
お客様は色々悩んだうえでそのプレゼントを選んでくれたかもしれないのに、それをポイッと簡単に捨ててしまうのは信じられなかった。
私はその子のことが仕事仲間として好きだったがために、余計にショックだった。
その子以外でも、例えば誕生日プレゼントはどこどこのブランド物がいいだの、バレンタインのお返しは何万以上のものだの、テレビでそんな特集を視たことがあったが、高いもののみが価値があるという考え方が一般化しているのが嫌だった。
安い女と思われるかもしれないが、正直私は何をもらっても嬉しい。
私のために買ってくれた、そのことだけで価値がある。
逆に高い物をもらうと、それだけのお金を使わせてしまったことに気がひけるし、それだけの分を返さないといけないという変なプレッシャーを感じてしまう。
何事もほどほどが良い。
悩んで、選んで、買って、あるいは手間暇かけて作って、人にプレゼントする、その気持ちに価値があると皆が思えば、誕生日もバレンタインもホワイトデイも記念日も、もっと気楽に過ごせるんじゃないだろうか。

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