ペアルックのなぞ

私が理解できないものの一つにペアルックがある。
ちょうど私の親世代がカップルだった頃の写真を見ると、ど派手なペアルックに身を包んで笑っている二人がいる。
一体その服はどこで買うのだろう。
メンズとレディースの洋服は、大抵売り場は別のはずだけれど、どこで一緒のものを買えたのか。

それとも、結構みんなペアルックをしていたということは、そういうのが当たり前の時代で、お店にいったら大抵ペアルックコーナーみたいのがあったのだろうか。
とりあえず、みんな新婚旅行だったり、デート先でペアルック写真をとっているわけだけれども、昔の方がそういうストレートな表現が可能な環境だったようだ。
果たして今でもいるのだろうか。
カップルは、さすが似た者同士ということで、似通ったテイストのコーディネートをしているのが多いけれども、さすがに同じ服を着ているという人たちは見なくなった。
やはりこっぱずかしいのであろう。
最近の人はともするとナルシシズムのかたまりなので、自分が傍から見られてバカップルと言われたくはないのだ。
私だってそんなのは御免蒙る。
けれども、そんな中果敢にペアルックをしている若者もいる。
カップルではない。
中学生から高校生、時には大学生らしき女子たちである。
昔から女友達というのは一種異様なもので、どこに行くんでも手を繋いでいたり、一緒にいったり、同じ小物を持ちたがったりするものだが、それが全身のトータルコーディネートにまで至ったのである。
大量生産の時代、没個性が危惧されているというのに、どうして好き好んで個性をころしてしまうのか。
どうも彼女たちは、一つのコミュニティーに属する自分としての個性を重視しているように思うのだ。
そのコミュニティーの個性が他と一緒はいやだけれど、その中ではみんな一緒がいい。
一緒で絆を感じる。
そんなような気がする。
けれども、やはり理解はできない。

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